カテゴリ:スタッフブログ / 投稿日付:2026/08/01 17:45
こんにちは。
センチュリー21サグチ不動産の佐口悟です。
現地に伺うと、「昔より、建物そのものを見る視点が変わったな」と感じることがあります。
以前は、立地や土地の広さ、駐車場の台数にまず目が行きました。もちろん今も大切な要素です。
ただ、相続や空き家、老朽化した建物のご相談が増えた今は、それだけでは判断できません。
「この建物に、これからいくらかかるのか」
「住み続けられるのか」
「売るなら、どういう状態で売るべきか」
「そもそも原因は何なのか」
実は、不動産の売却相談も同じです。
価格の話を先にしてしまうと、後から大きな問題が表面化することがあります。
今回は、現在も弊社でサポートを継続している、原因が特定できない漏水についてのご相談です。

1か月以上続く漏水。「雨漏り」と決めつけられない難しさ
お客様がお住まいの建物で、1か月ほど前から室内への漏水が続いているとのご相談でした。
当初は雨漏りが疑われていました。しかし、
- 雨が降っていない日にも水が落ちてくる
- 屋上や外壁のつなぎ目を補修しても、状況が完全には改善しない
- 2階の生活排水を止めて様子を見ても、目立った変化がなかった
建物は鉄骨・コンクリート造の大きな建物です。
水がどこから侵入し、どの経路をたどり、どこに溜まっているのか。外から見ただけでは断定できません。
- 雨水の侵入なのか
- 給排水管の不具合なのか
- 過去に浸入した水が構造内部に残っているのか
これらが複合している可能性もあります。原因を曖昧にしたまま部分的な修繕を重ねても、再発するリスクが残ります。
「売却査定」より先に、原因調査が必要なケース
ご相談者様は、将来的な売却も選択肢の一つとして考えておられました。
ただ、私はまず「査定額を出しましょう」とは申し上げませんでした。
原因不明の漏水を抱えたままでは、
- 修繕して住み続けるのか
- 一時的に住まいを移す必要があるのか
- 建物付きで売却できる状態なのか
- 解体して土地として売却すべきなのか
この判断自体ができないからです。
今回の建物は昭和40年代築と、旧耐震基準の時代に建てられたものです。建築確認申請書などの資料が見当たらない状況でしたが、これらの資料は、今後の建物の状態を判断するうえで重要な手がかりになります。
今回、まず取り組んでいること
弊社では、まず建築に詳しい専門家に相談し、調査が可能かどうかを確認することから始めています。
いきなり大規模な工事に着手するのではなく、次の順番で整理することが大切です。
- どこまでの調査で原因を絞り込めるか
- 調査にどの程度の費用がかかるか
- 床や壁を大きく開ける必要があるか
- 原因が判明した場合、修繕にどの程度の費用がかかるか
- 過去の工事の保証や、火災保険の適用余地があるか
保険については、契約内容や漏水の原因によって扱いが異なります。
「雨漏りだから出る」「排水管だから必ず出ない」と決めつけず、契約内容と調査結果をもとに個別に確認する必要があります。
以前に外壁や防水の工事を依頼した業者への確認(セカンドオピニオンとして別の専門家にも意見を求めること)も、選択肢の一つとして検討しています。
建物の問題は、暮らしの問題でもあります
幸い、この建物では上階に生活空間が残っており、お客様は最低限の生活を維持されています。
しかし、水漏れが続けば、カビの発生や建材の劣化、衛生面への影響も心配されます。
ご家族にはお子様もいらっしゃいます。
「子どもたちが今の環境で過ごせる間は、できるだけ生活を維持したい」
「ただ、大きな修繕費が必要なら、この建物を今後どうするか考えなければならない」
これは単なる建物の問題ではなく、ご家族の暮らし、教育、そして将来の住み替えまで関わる問題です。
だからこそ、売却を前提に進めるのではなく、まずは安全で落ち着いて暮らせる環境を取り戻すための道筋を考える必要があります。
不動産会社の役割は、売却を急がせることではない
不動産会社に相談すると、「早く売った方がいい」とすぐに勧められるのではと心配される方もいらっしゃいます。
しかし、今回のようなご相談では、結論を急ぐことが最も避けるべきことだと考えています。
原因を調べる。
修繕費の見通しを立てる。
残っている資料を確認する。
保険や保証の可能性を確認する。
住み続ける場合と、売却する場合の選択肢を比較する。
そのうえで初めて、ご家族にとって負担の少ない選択が見えてきます。
私は、不動産を売ることだけが仕事だとは考えていません。
お客様が将来困らないよう状況を整理し、必要な専門家につなぎ、次の判断ができる状態を一緒につくること。
それも不動産会社としての大切な役割だと思っています。
今回の案件は、まだ解決には至っていません。
焦らず、しかし止まることなく、原因の特定と今後の選択肢の整理を、引き続きサポートしてまいります。


