カテゴリ:スタッフブログ / 投稿日付:2026/07/28 14:27
こんにちは。
センチュリー21サグチ不動産の佐口悟です。
最近、車を運転しているときに、昔より少し慎重になったなと感じます。
若いころは、細い道でも「まあ行けるやろ」と思って入っていったものですが、最近はまず道幅を見ます。
対向車が来たらどうするか。
切り返しはできるか。
バックで戻れるか。
その先に逃げ道はあるか。
不動産の現地確認でも同じです。
今回ご相談いただいたお住まいも、まさに「道」が大きなポイントになる物件でした。
家そのものは新しく、駐車スペースも確保されている。
けれど、そこへ至る道路が細い。
車で入るには少し緊張する。
こういう不動産は、机の上の数字だけでは判断できません。
実は不動産売却も同じです。
一見すると、
「売ればいい」
「ローンを組み直せばいい」
「任意売却にすればいい」
「自己破産すれば整理できる」
と単純に見える話でも、実際には細い道を慎重に進むように、一つひとつ確認しなければならないことがあります。
今回のご相談は、住宅ローンの滞納、自己破産の可能性、任意売却、親族間売買、そして何より「お子様たちの住む家を守りたい」という、とても重いご相談でした。
■ 家を売る話ではなく、家族の生活をどう守るかという話
今回、最初にご相談をいただいたのはご主人様からでした。
住宅ローン以外にも負債があり、返済が難しい。
弁護士にも相談している。
自己破産も視野に入っている。
けれど、できることなら奥様とお子様たちが今の家に住み続けられる方法はないか。
そういうご相談でした。
不動産会社にこうした相談が来ると、単純に「では売却しましょう」と考える会社もあるかもしれません。
しかし、私はそうは考えません。
まず確認すべきことは、
誰が困っているのか。
誰を守りたいのか。
住宅ローンはいくら残っているのか。
他の負債はいくらあるのか。
自己破産をした場合、不動産はどう扱われるのか。
任意売却の可能性はあるのか。
奥様が住宅ローンを組める可能性はあるのか。
そもそも奥様とお子様たちは本当にその家に住み続けたいのか。
ここを整理しないまま話を進めるのは危険です。
不動産売却は、物件だけを見て判断するものではありません。
特に今回のように、住宅ローン、負債、家族関係、お子様の生活が絡む場合は、家を売る話ではなく、生活再建の話になります。
■ 「住み続けたい」という奥様の本音
奥様に直接お話を伺いました。
お子様たちは転校したくない。
今の家に住み続けたい。
自分の部屋がある環境を、できれば守ってあげたい。
少なくとも子どもたちが成長するまでは、この家で暮らしたい。
そのお気持ちは、とてもよく分かります。
大人は、事情が分かります。
お金のこと、ローンのこと、離婚のこと、破産のこと。
現実として受け止めなければならないことがあります。
でも、お子様にとっては違います。
なぜ急に引っ越さなければならないのか。
なぜ学校を変わらなければならないのか。
なぜ自分の部屋がなくなるのか。
そうしたことを、簡単に受け止められる年齢ではない場合もあります。
だからこそ、奥様は不安の中でも、
「できることならこの家を守りたい」
とおっしゃっていました。
私は、そのお気持ちを聞いたうえで、きれいごとだけは言わないようにしました。
「必ず買えます」
「必ず住み続けられます」
「大丈夫です」
そう言って安心させるのは簡単です。
でも、根拠のない安心は、後でお客様をもっと苦しめます。
だから私は、可能性はあること、ただし約束はできないこと、買えない可能性もあることを正直にお伝えしました。
■ 任意売却は魔法ではありません
今回のように住宅ローンの返済が難しくなった場合、選択肢の一つとして任意売却があります。
任意売却とは、簡単に言えば、住宅ローンの返済が困難になったときに、債権者の同意を得て不動産を売却する方法です。
ただし、ここで誤解してはいけないことがあります。
任意売却にすれば、必ず安く買えるわけではありません。
任意売却にすれば、必ず家族が住み続けられるわけでもありません。
債権者が認めなければ進みません。
買う側の住宅ローンが通らなければ買えません。
売却価格と融資可能額が合わなければ成立しません。
つまり、任意売却は魔法ではありません。
ただし、競売になってしまう前に、関係者が協議しながら現実的な出口を探せる可能性があります。
この「可能性」をどう活かすか。
ここに不動産会社の経験と調整力が出ます。
■ 自己破産を急ぐ前に、整理すべきことがある
ご主人様は、かなり精神的にも追い込まれているご様子でした。
借金から解放されたい。
自己破産すれば楽になるのではないか。
そのようなお気持ちもあったと思います。
しかし、ご家族が住んでいる家がある場合、自己破産を先に進めてしまうと、不動産の扱いが自分たちだけでは決められなくなる可能性があります。
破産手続きに入ると、裁判所や管財人が関与し、債権者のために資産を換価していく流れになることがあります。
そうなると、残されたご家族が「この家を買いたい」と思っても、必ずしも希望どおりに進められるとは限りません。
だから私は、ご主人様に対して、
「まず動く前に整理しましょう」
とお伝えしました。
負債の内容。
住宅ローンの残高。
滞納状況。
奥様の収入。
奥様がローンを組める可能性。
ご家族の意思。
親族からの援助可能性。
生活費の見通し。
これらを整理しないまま、自己破産、任意売却、離婚、名義変更と進めてしまうと、後戻りできない判断になってしまうことがあります。
不動産の仕事は、売ることだけではありません。
時には「今はまだ動かない方がいい」と伝えることも仕事です。
■ 親族間売買の難しさ
今回の大きなポイントの一つが、奥様がご主人様から家を買い取る形にできるかどうかです。
いわゆる親族間売買に近い形です。
ここは非常に難しいところです。
通常の不動産売買であれば、買主様が住宅ローンを申し込み、金融機関が審査をします。
しかし、夫婦間、親子間、親族間の売買では、金融機関が慎重になることが多いです。
なぜなら、本当に不動産購入のための融資なのか。
資金が別の目的に使われないか。
売買価格が適正なのか。
形式だけの売買ではないか。
こうした点を確認されるからです。
もちろん、今回のようにやむを得ない事情があるケースもあります。
家族の生活を守るための売買であり、目的外利用ではないと説明できる場合もあります。
それでも、どこの金融機関でも簡単に通る話ではありません。
だからこそ、金融機関、司法書士、場合によっては弁護士など、専門家と連携しながら慎重に進める必要があります。
■ 「買えるか」だけでなく「払っていけるか」
奥様が一番心配されていたのは、
「私は本当にこの家を買えるのか」
ということでした。
しかし、私はもう一つ大切なことをお伝えしました。
それは、
「買えるかどうか」と同じくらい、
「買った後に払っていけるか」が大切だということです。
住宅ローンが通ることと、生活が成り立つことは別です。
金融機関が一定額まで貸してくれるとしても、その返済額が家計に重すぎれば、また苦しくなってしまいます。
毎月の住宅ローン。
電気代。
水道代。
ガス代。
インターネット代。
固定資産税。
火災保険。
車の維持費。
お子様の教育費。
食費。
医療費。
将来の進学費用。
これらを全部見なければいけません。
不動産会社が、
「ローンが通りました。買えます。よかったですね」
で終わってしまってはいけないと思っています。
買った後に、お客様が苦しくならないか。
お子様との生活を守れるか。
そこまで考える必要があります。
私がいつも申し上げている「最終手残りを最大化する」という考え方は、売却のときだけではありません。
今回のようなケースでは、
「家を残すこと」と「生活を破綻させないこと」
この両方を見なければいけません。
■ ライフラインの名義と支払いも大切です
今回、お話を伺っていて気になったのが、電気、水道、インターネットなどの支払い状況でした。
住宅ローンの話に目が行きがちですが、実際に生活しているご家族にとっては、ライフラインが止まることの方が直近の大問題です。
電気が止まる。
インターネットが使えない。
水道料金が滞る。
請求書がどこに届いているか分からない。
誰が何を払っているか分からない。
これでは、安心して生活できません。
ですので、奥様には、まず現在の契約先や支払い状況を確認していただくようお伝えしました。
どこの電力会社か。
水道は誰の名義か。
インターネットはどこの会社か。
支払い方法はどうなっているか。
滞納はないか。
支払者を変更できるか。
こうしたことは、不動産売買の表面には出てこない話です。
でも、現実の生活ではとても大切です。
家を守るということは、登記名義や住宅ローンだけの話ではありません。
その家で、明日も普通に暮らせるかどうか。
そこまで含めて考える必要があります。
■ 道幅の問題も、価格に影響します
今回の物件は、建物そのものはまだ新しく、太陽光設備もあり、駐車スペースもあります。
しかし、現地に行くと道路の狭さが気になります。
これは不動産の価格に影響します。
買主様は、建物だけを見て判断するわけではありません。
毎日車で出入りしやすいか。
来客が来られるか。
将来、お子様が車を持ったときに困らないか。
大きな車でも入れるか。
すれ違いや切り返しはできるか。
こうしたことを見ます。
ですから、机上査定で出た価格が、そのまま市場で楽に売れる価格とは限りません。
逆に言えば、任意売却の協議をする際にも、こうした現地の事情をきちんと説明できるかどうかが大切になります。
不動産の査定は、数字だけではありません。
現地を見て、車で入り、道路を確認し、買う人の気持ちで考える。
そこまでやって初めて、実務として使える査定になります。
■ 私は味方です。でも、現実も伝えます
今回、奥様はかなり不安な表情をされていました。
それは当然です。
これまで詳しい事情を知らされていなかった。
突然、自己破産や任意売却の話が出てきた。
子どもたちは今の家に住みたいと言っている。
でも、自分が大きな住宅ローンを背負うことも怖い。
買えない可能性があると知って、さらに不安になった。
そのお気持ちは、本当によく分かります。
私は奥様に、こうお伝えしました。
「私は味方です。ただし、根拠のない安心は言いません」
できる可能性はあります。
できない可能性もあります。
家を守れる可能性はあります。
しかし、守れない場合の心構えも必要です。
不動産会社として、少しでもご希望に近づけるように動きます。
ただし、債権者、金融機関、司法書士、法律上の手続きなど、関係者が多く絡む話です。
私とお客様だけで決められる話ではありません。
だからこそ、一つひとつ確認しながら進める必要があります。
■ 専門家としての気概
こうした案件は、正直に言えば簡単ではありません。
普通の売却相談よりも時間がかかります。
金融機関との相談も必要です。
司法書士との打ち合わせも必要です。
お客様の感情にも寄り添わなければいけません。
一歩間違えれば、ご家族の住まいに大きな影響が出ます。
でも、私はこういう場面こそ、不動産会社の真価が問われると思っています。
高く売れそうな物件だけを扱う。
簡単にまとまりそうな案件だけを扱う。
それも一つの商売かもしれません。
しかし、私はそれだけをやりたいわけではありません。
困っているお客様がいる。
不安の中で、何をどう判断すればいいか分からない。
子どもたちの生活を守りたい。
でも現実のお金の問題がある。
そういう場面で、逃げずに一緒に整理する。
不動産、金融、税務、法務、地域事情を踏まえて、現実的な選択肢を示す。
これが私の仕事だと思っています。
■ 最後に
今回のご相談は、まだ結論が出たわけではありません。
奥様が住宅ローンを組めるのか。
任意売却が認められるのか。
債権者がどの金額を認めるのか。
親族からの支援が得られるのか。
最終的に今の家に住み続けられるのか。
これから確認しなければならないことがたくさんあります。
ただ、一つだけはっきりしていることがあります。
それは、お客様が守りたいものは「不動産」そのものではなく、そこにある暮らしだということです。
お子様の生活。
学校。
自分の部屋。
家族の記憶。
安心して眠れる場所。
不動産は、単なる土地と建物ではありません。
人の暮らしが乗っています。
だからこそ、売るにしても、残すにしても、簡単に判断してはいけません。
住宅ローンの返済が厳しい。
任意売却を考えている。
自己破産の前に家のことを整理したい。
離婚や家族関係が絡んでいて、どうすればいいか分からない。
相続や空き家だけでなく、今住んでいる家をどう守るか悩んでいる。
そうした方は、一人で抱え込まないでください。
多治見市周辺の不動産事情を知る地元の会社として、
そして、不動産売買だけでなく、お客様の人生の節目に向き合う専門家として、
できること、できないことを正直にお伝えしながら、現実的な道筋を一緒に考えます。


