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昭和51年築の実家、解体して土地で売るべきか。査定で見えてきた「多治見の今」
カテゴリ:スタッフブログ  / 投稿日付:2026/09/27 12:29

こんにちは。
センチュリー21サグチ不動産の佐口悟です。

先日、相続された不動産の訪問査定に伺いました。名古屋のベッドタウンとして発展した、多治見市内の住宅団地にある、昭和51年築のご実家です。約95坪という広めの敷地に、5年前にお父様が亡くなられて以来、空き家になっている木造住宅がありました。

こうした「実家をどうするか」というご相談は、この10年で本当に増えました。今回は、その査定の場でお話しした内容をもとに、多治見の不動産の「今」についてお伝えしたいと思います。

なぜ「解体して土地」を勧めたのか

まず今回、私が建物付きではなく、土地としての売却を提案した理由からお話しします。

査定書には、査定不動産の調査レポート、価格の算出根拠、そして提案書という3部構成でまとめています。その中で重要になるのが、耐震性の問題です。

今回の建物が建てられた昭和51年は、いわゆる「旧耐震基準」の時代でした。建築基準法が大きく改正されたのは昭和56年6月1日で、これ以降の建物には新しい耐震基準が適用されています。今回のご実家は、その5年前に建てられたものです。

さらに、この土地の周辺には活断層が複数存在し、いずれも最大震度6弱を引き起こす可能性があるとされています。今の建築基準法は、震度6弱から7に耐えることを想定していますが、旧耐震基準の建物はこの水準を満たしていません。

こうした事情から、建物として販売するよりも、解体して更地として売却する方が、買主様にとっても安心して選んでいただける形になるだろうと判断しました。

「いくらで売れるか」より「いくら手元に残るか」

査定価格は、周辺の取引事例をもとに算出しています。実際に成約した価格のデータや、現在売り出し中の価格情報を集約し、売り出し価格については実勢価格に近づけるため、7%程度の補正をかけて計算します。

今回の場合、この土地の想定成約価格は1,300万円ほどでした。

ただし、ここで大切なのは「いくらで売れるか」ではなく、「最終的にいくら手元に残るか」です。

売却には、印紙代、登記費用、仲介手数料などの諸経費に加え、建物の解体費が必要になります。解体費は、建物本体だけでなく、カーポート、フェンス、庭石、擁壁ブロック、そして室内の残置物の処分費用も含めて考える必要があります。今回は、これらを含めておよそ300万円程度を想定しました。

さらに見落としがちなのが、売却によって発生する譲渡所得税です。

相続した不動産で、購入時の契約書などが残っていない場合、売却額のわずか5%を取得費とみなして税額を計算します。これを「概算取得費」と呼びます。この方法で計算すると、今回のケースでは、譲渡所得税がおよそ187万円になる見込みでした。

つまり、1,300万円で売れたとしても、諸経費と税金を差し引くと、実際に手元に残る金額はそれよりかなり少なくなります。この「最終手取り」を最初にお伝えすることが、後悔のない売却のために欠かせないと考えています。

解体のタイミングが、税金に影響する

今回、特にお伝えしたかったのが、「先に解体すべきではない」という点です。

不動産売却のために建物を解体する場合、その解体費用は「譲渡費用」として経費に計上できます。
ただし、これには「土地を売却するために、建物の解体が直接必要だったこと」を証明するという条件があります。
最も確実なのは、売買契約書に「売主の費用負担で建物を解体し、更地にして引き渡す」という特約(更地渡し特約)を明記したうえで解体を行う方法です。

もし解体費が経費として認められなくなり、結果として納める税金が増えてしまいます。今回のケースで言えば、その差はおよそ50万円にもなりました。

また、先に解体してしまうと、もし売却までに時間がかかった場合、その間の固定資産税や管理の負担だけがのしかかります。逆に、建物を残したまま販売することで、「古家付きのまま欲しい」という思いがけないニーズに応えられる可能性も残せます。

このような理由から、私は基本的に「先行解体」はお勧めしていません。まずは現況のまま販売し、契約が決まった段階で解体を進めるという流れが、リスクを抑えながら手取りを最大化する方法だと考えています。

建築費の高騰と、変わりゆく多治見の住宅事情

査定の場でもお話ししましたが、今、多治見の住宅市場は大きく変化しています。

かつては、多少割安な土地にローコスト住宅で家を建てれば、年収400万円台のご家庭でも住宅購入が可能でした。しかし、建築費の高騰により、今は土地と建物を合わせて4,000万円を超えるケースも珍しくありません。結果として、それなりの世帯年収のご家庭でなければ、住宅ローンを組むのが難しい状況になっています。

一方で、駅から近い物件については、価格が上がっても購入を希望される方が一定数いらっしゃいます。実際に、多治見駅から徒歩圏の土地は、3,000万円台後半でもわずか2週間ほどで成約に至った実績があります。

団地エリアについては、かつてのように子育て世代が新たに流入してくる状況ではなくなってきています。ただ、今回のように95坪という広めの敷地であれば、平屋志向が強まっている今の住宅需要にも対応できる可能性があります。実際、平屋を希望される方は年配の方だけでなく、若い世代にも増えています。ゆったりとした延床面積を確保するには、それなりの敷地面積が必要になるため、今回のような広い土地は、むしろ強みになると考えています。

相続不動産は、思い出と現実の両方に向き合う仕事

査定に伺うと、いつも感じることがあります。

不動産を「売る」という決断は、単なる資産整理ではありません。そこには、ご実家で過ごした夏休みの記憶や、家族との思い出が積み重なっています。私自身も、祖父母の家を手放した経験があり、その時の複雑な気持ちは今でも覚えています。

だからこそ、私たちは価格や手続きの話だけでなく、そうした思い入れにも耳を傾けながら、無理に急かすことなく、一つひとつ丁寧に進めることを大切にしています。

解体や残置物の処分についても、猛暑の中での作業はご負担が大きいため、できる限り私たちや提携業者が代行し、お客様にはご自宅の涼しい場所でお待ちいただけるよう配慮しています。

相続した実家をどうするか、迷われている方も多いと思います。まずは解体費用や残置物の処分費用がどれくらいかかるのか、見積もりだけでも取ってみることから始めてみませんか。売るか売らないかは、その後にゆっくり考えていただいて構いません。

多治見の地域事情を知り尽くした地元の不動産会社として、これからも一つひとつのご相談に、誠実にお応えしてまいります。

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